Love Game in WhiteDay






もう、3月14日。

高校は3月の上旬に学年末テストがあって、それが終わると春休みになる。

あの出来事があってから1ヶ月経ったホワイトデーは、春休みの最中だった。


あの後、柚木とも火原くんともまともに口をきいたことが無い。

せっかく作ったチョコレートも、お父さんに余分にあげた。

あのことを思い出す暇がないくらいに勉強してたのに、テストも終わってしまった。



でも昨日、メールが来たんだ。


「From:火原くん
 明日、駅前に午前9時、会えるかな」


どうしても行かなきゃって、思った。

新しく板チョコを買ってきて、あの生チョコを、もう一度わざわざ作った。

私なんかにこんな勇気があったのかと思うと、自然に笑みがこぼれた。































駅前に着くと、20分前だというのに火原がいた。




「あ、ちゃん・・・」


「久しぶりだね」


「そうだね・・あのさ、」



そう言いかけた火原を静止して、はチョコを渡した。



「え・・?」


「あげるよ」


「おれに・・?」


「もちろん、ごめんね、1ヶ月もずれちゃって」


「い、いいいいいいよっ、おれ、すごく嬉しいって!」



互いに照れあって、しばらくの間沈黙が続く。

でもその沈黙は心地が良くて。

自然と微笑んじゃうくらいに。



「あの、バレンタインの時なんだけど・・」



最初に口を開いたのは

だが火原はの唇に人差し指を立てた。



「っ・・火原くん・・・・!?」


「しーっ」


「えっ?」


「なんにも言わなくてもいいよ。大丈夫だよ」



そう言ってくれる声には、魔法が宿っているのかと思った。

なんで火原くんの言葉はこんなに信じられるんだろう、って。



「おれも・・さ、いろいろあったけど、それはまたいつか話すことにしようよ
 今は、仲直り・・・したいんだ」


「・・・・・うん、私も」


「そっか、ありがとう。
 おれ・・あの時びっくりしちゃって・・・柚木が、ちゃんのこと好きって言ってる気がして・・
 後で、ちゃんと聞こうとしたんだよ。
 そしたら・・やっぱ好きだから最後まで聞けなかったんだ」


「私・・を?」


「うん。
 おれ、ちゃん好きなんだ。
 いっぱい心配させてごめんね?」




望んでいたはずなのに、実感がわかなくて。

本当にすごく嬉しかったり、とても悲しかったりすると涙が出ないって・・・こうゆうことだって分かった。




「うん、大丈夫。
 私ももう大丈夫だから」


「本当に楽しみだったんだよ、今日、きみに会えるって思ったから」


「私も・・、メール見て、急いでチョコ作り直して・・・・楽しかった」



しばらくして、また火原くんが口を開いた。



「これから、時間ある?
 デートしようよ!どこに行きたい?あ、そうだ、臨海公園でも行かない?」


「うん、行きたい!」




すると火原は照れているのか、頬を少し桜色に染めて。

ふわふわした柔らかい笑顔でに手を差し伸べる。

も同様に暖かい微笑みをたたえつつ、その手をとった。



「いこっか。
 今日はね、王崎先輩が路上ライブやってるんだ」









私の一方的な愛情は、彼をたくさん悩ませてしまった。

でも、誰かが言ってた。

『悩んだ分だけ戻ってくるよ』って。






2人で食べたチョコは、恋の味がした。






















あとがき

もう4月終わりそうじゃないですか;
ごめんなさい・・・でもこの小説書いてるとき、すごく幸せな気分でした。
熱37.9度あるくせに心は元気です!
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