確かなやすらぎ










真っ白なオープンカーが、夜の高速道路を走っている。


金色の髪をなびかせて、男は彼の愛車を走らせた。

少しクセ髪をもつ彼の名前はグラハム・エーカー。

ユニオン軍に所属するエースパイロットだ。


だが、そんなことも忘れるかのように今日の彼の胸は騒ぎ続けていた。

時は西暦2307年。

このご時世にさえ、クリスマスを祝うという習慣はあった。

その時間を、愛しい人と共に過ごすことも稀有なことではなかった。


新調したスーツをまとい、ネクタイの色は彼女のお気に入りである純白。

助手席には、いつか彼女が欲しがっていたプレゼントを添えてあった。



ふいに、高層ビルの立ち並ぶ場所が見える。

それらの光は彼の車をいっそう輝いて見せた。

そこは経済特区・東京。

彼の愛しい人が住む場所だった。




「東京タワー・・・か」



いつ観ても壮観だな、と独り言を呟く。

プレゼントをポケットへ隠すと、

高速を下り、待ち合わせ場所へと向かう。

場所は東京駅。

レンガの色が見えてくると、その前には彼女がいた。



私の大切な人。



「こんばんは」



やはり純白のドレスをまとい、長めの髪をアップにさせたは、

車を横付けにした私の顔を微笑みながら覗き込んだ。

そんな彼女はいつになく綺麗で。

挨拶のようにキスを交わした。



「こちらへどうぞ、お姫様」



車から降りて、助手席のドアを開けた。

私はに入るように促した。

本当にお姫様なのだろうかと思うくらいの気品と美しさにいつもながら酔いしれる。



「ありがとう」

「どういたしまして、

「道、混んでた?」

「え、遅れたかな?」

「ううん、待ちきれなかったから・・・待ってるの退屈だったの」



私は少し微笑む。

何故って、彼女が可愛くて、愛しくて仕方が無いから。



「それはすまなかったね。 でもこれからは・・退屈させないよ」

「ふふ、そう言うと思った。 期待してるね」



私より少し若いは、その割りに大人びた外見をしている。

だが・・いざ話してみるとそんなことも無くて。

いつも表情がくるくると変わることはもちろん、泣いた顔だって、日焼けした顔だって、私には愛しい。

妙に気合いの入った私は、車を出発させた。



『どこに行くの?』



なんて、何も知らないような顔をして私に話しかけてくるから、

からかいたくなるだろ?



「さぁ、の行きたいと思った場所になら、どこへでも」

「またそんなこと言って・・」



するとは頬をほんのり紅く染めた。

着飾った街を2人で駆け抜ける。

今日は・・・やっぱり寒いな。

駅から少し行ったところで車を停めた。

そこは、経済特区・東京のシンボルとも言える東京タワーのすぐ近く。

洒落た展望レストラン。


夜景が一望できる席へと案内され、予約済みのディナーコースが運ばれてくる。

だがそんなことは気にもせず、はひたすら夜景を眺めていた。



「きれい・・・」



そんなをずっと見ていた。

いや、見惚れていたといったほうがいいのかもしれないが。

ふと目線が交わると、彼女はまた照れながら食事を始めた。






その後、私はクリスマスイルミネーションで最近話題になった公園へ彼女を連れ出した。

車を降りて遊歩道を歩く。

周りの雰囲気は私達を最高のシチュエーションへと導いてくれたのだった。

幸い、時間が遅かったからなのか、寒いからなのか分かりかねるが人通りは少なかった。



「すごいね! これ、何時までやってるんだろう?」



私の愛しい人は残念ながら私のことを見てはくれない。





「ん?」

「もっと・・私を見てくれないか」

「え・・?」

「君は・・・私が好きか?」



私が訊ねると彼女は顔を真っ赤にして答えてくれた。



「あ・・うん。すき。 どうして?」

「ふふ・・言わせたかっただけ」



案の定はうつむいてしまった。

そんなに恥ずかしいことだったのだろう。彼女にとっては。

私はそんな彼女の頬に手を寄せた。



「メリークリスマス、

「・・・・これは・・?」

「君に渡すために持ってきたんだ」



私は彼女に小さなプレゼントを渡した。

近くにあったベンチに座って、はリボンを解きだした。

中にあったのは・・・ペアになっている指輪。

もちろん互いの名前が彫られていた。



「ありがと・・・」



はそれだけ言うと、私の名前が彫られた指輪を自分の薬指にはめた。



「こらこら、それは私の役得だろう?」

「ふふ、ありがとう」



彼女の細い指には大きいだろうか、丁度というより少し大きめな指輪は、

再度彼女の左手の薬指へ戻ってきた。


するとはもう1つの指輪を私の薬指にはめた。



「かわいいね、この指輪」

「私が君のために選んだものだからね」

「わたし・・何も用意してなくて・・・ごめんなさい」

「気にしてないよ。 君がいてくれればいいさ」

「・・・・・うん」

「笑って」

「・・・お仕事、気をつけてね」



予想外の彼女の発言に、私は一瞬身を固くした。



「ソレスタルビーイングのことか」

「戦ってたって・・・ビリーさんから聞いて・・」

「大丈夫だよ」

「ホントに?」

「君のところに・・必ず帰ってくるから」



私の言葉に、彼女は最高の笑みを称えた。

私が彼女の笑顔を奪っていたのだろうか、だなんて・・すこし感傷的になったりする。

けれどその気持ちなんかより、彼女が愛しくて仕方がなくて。

この想いを伝えないと、私の心がもうもたないくらいに。



「きゃっ!?」

・・・」



私は彼女を抱きしめた。

きつく、きつく、きつく。

私がすぐ近くにいることを分かって欲しかった。



「えっ!? ちょっと待って!」



私が顔を近づけると、急に照れだす



「待たないさ。 愛してるから」







丁度そのとき、空からは真っ白な雪が降り出した。



























あとがき


彼の一人称がまだ分からず、「私」で通してみました。
分からぬ!!彼がよく分からぬ!!!!なんだこのストーリーの脈絡のなさは!!!!
あー、最初はいい感じだったんですけどねぇ。
初めてだということで水に流させてください;

1発目のクリスマス夢は初書きのグラハム夢でした。そういえばヒロインが彼の名前を1度も呼んでいないわ。
大変だ。

では、ホントにこんな酷い夢を見せてしまってすみませんでした;
そして、ありがとうございました!!!


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