僕からのメリークリスマス









明日は、クリスマスだね。

ねぇ、僕は君といられるだけで幸せなんだ。

『高望み』なんてしてないよ。

ただ、君が大切で、大切で、どうしようもないくらいに愛しいんだ。

だから一緒にいたいな、今日も、明日も、明後日も、ずっと・・・






















クリスマスイブだって言うのに、学校は休日をくれない。

ケチだって言う人もいるけど、休日だって平日だって、どっちだってかまわないんだよ。

だって、僕はいつも君のそばにいるんだから。



朝、支度が整ったらさんの家へ彼女を迎えに行く。

玄関から見える大きなガラス窓からさんの顔が見えた。

微笑んで手を振ってくれる、そんな君だから・・こんなに素敵な気持ちになれる。

すごく心が満ち足りた気分だよ。



「・・・さむ・・」



今日はいつになく寒くて、空はどんよりしたねずみ色で・・

今にも雪が降り出しそう。

もしそうなっても、僕は君に寒い思いなんてさせないけどね。


そんなことを考えてたら、さんが出てきた。

今日はやっぱり寒いのかな、珍しくコートを着てた。

真っ白な色で、まるで君みたいだね。



「おはよう!」

「ふふっ・・初めて見るな、そのコート」

「そう?」

「うん、でもすごく似合ってる・・・ううん、君が着てるから、そのコートが似合って見えるんだね」

「そ、そんなこと・・」



顔を真っ赤にして俯くさん。

ふふっ、この分ならきっとあったかいよね。



「行こう?」

「そうだね、行こうか」



僕たちは何気ない会話をしながら登校した。

友達の話、ヴァイオリンの話、僕の話、さんの話。

何をしていたって、君がそばにいるなら満足なんだよ。



学校に着いて、下駄箱で靴を履きかえる。

それから階段をいくつも登って、僕らの教室へ向かう。



「ねえ、さん」

「ん?」

「幸せだね、毎日がこんなに充実してて・・隣には君がいるんだから」

「うん・・・私も」



廊下を歩いてると、天羽さんが走ってくる。



「や!
 今日も仲良しだね、お二人さんっ!」

「ふふっ、ありがとう天羽さん」

「ところでさ、土浦くん知らない?」

「土浦くん?」

「うん、1限の古文の教科書忘れちゃってさ」

「僕が貸そうか?」

「ごめんよ〜、もうメールしちゃったんだよ」

「そっか、ごめんね、役に立てなくて」

「いいっていいって!」

「古典頑張ってね」

〜、あんたも頑張りなよ!」



さんが『え?』って言ってるのも待たずに、天羽さんは走り去って行った。

ホント、元気な人だなぁ。



教室に入ると、もう時間はあまり無いみたい。

すぐに担任が入ってきてSHRが始まった。

さんの隣の席に座ると、いつものように君を見る。

ふふっ・・一生懸命に授業を受けてる君、とても可愛い。



「君がひとりの女の子としても・・すごく魅力的で嬉しいな」

「はっ!?」

「ふふっ・・僕の言ったことは気にしないで。 ・・・いや、ここは真剣に受け止めてもらっておこうかな」

「・・・・・」



さんはびっくりしたんだろうな。

ずっと口をポカンと開けたまま僕の方を見てる。

授業がまた始まって、さんはまた一生懸命に授業を受けてる。

教科は古典。

僕、昔の古典の時間にさんを助けてあげられたんだよ。

覚えてるかな?

あの時すごく嬉しかったな。





ふと。



「・・・・加地くん」



さんは吐息を零すように優しく僕を呼んだ。

彼女がいる僕の右側を伺う。

そこには机の中から何かを出そうをしてるさんがいる。

彼女は小さな箱を出した。



「いつも・・・ありがと。

 だいすき」



「・・・っ!」



僕は驚いたように声を上げそうになった。

息を吸い込む音だけが古文を読む先生の声と重なった。

そして壊れ物を扱うような手つきでその箱を受け取る。



「・・これって・・・」

「うん、ネックレスっていうか・・ペンダントだよね」



それはペアになっているペンダント。

2つを合わせることで雪の結晶の形が模されるデザインだった。


僕はもう嬉しくて、嬉しくて、嬉しくて・・・

声も出ないくらいに想いがこみ上げてきて。



そんな風に1時間過ごした。

古典が終わって昼食の時間になると、さんの方を見た。



「・・・・・ふぅ」

「加地くん?」

「ちょっといいかな」



僕はさんを普通科校舎の屋上に呼んだ。

ここは僕のとっておきの場所だから。



「ありがとう、今までで一番嬉しいよ」

「そんな・・大げさだよ」

「ふふっ・・大げさだっていいんだ。 少なくとも今の僕は・・最高に幸せってこと」

「・・・・うん。 あたしも幸せだもん」

「君と同じ気持ちだなんて、贅沢すぎるかな・・ほら、後ろ向いてよ」



僕はさっき貰ったペンダントの片方をさんに着けた。

『似合う』だなんて、ありきたりの言葉は使いたくない。

ただ、君が輝いてるのかと思う位。

僕の見えてる世界は輝いてたんだ。



さん・・」

「ん?」



なんともないような顔して・・

ホントに、可愛いんだから。


僕はさんの手を取った。




「・・これからも、よろしくね」


「もちろん!」











なんだか、こういう毎日がすごく輝いてる。

僕は君に会いに来て、本当に幸せにさせてもらったよ。

君にちゃんと届いてるかな、

僕からの「メリークリスマス」




ふふっ・・明日もよろしくね?




































あとがき


葵くんです。
なんかまもの笑い方を表現してみたら黒い人みたいになっちゃった・・・
弁慶さんとか。
クリスマスまであと4日です!
内容がすごく薄い感じがするわ・・;
加地くん自体は素敵なキャラなのに品位を下げてしまった・・・Σ(-ロ-;)

マジで!!こんな駄文をここまで読んでくださってありがとう御座いました!!!


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