時の流れを






















『汝は時の流れを変えた』





ってね。










そんな風に説明を始めるを、三蔵以外はまじまじと見た。

当人はほとんどくつろいだ状態での話を聞いていた。

だがこの意気で話に身が入ったは、次へと話を続けた。













そしたら異空間にいた。

そこは夜よりもずっと真っ暗で深くて怖かった。

でもそこには金髪の男の人がいて、助けてくれた。

だから私は無事に『京』っていう世界に行って、順調に八葉も探したんだ。

八葉っていうのは神子である私を守ってくれる8人の男性のことで、皆すごく優しかった。

『京』では怨霊が暴れて、陰と陽の力が分断されていたから不安定になってたから。

でも八葉のおかげで京の怨霊とかを封印して、応龍を復活させて帰ってきたの。




1人でね・・・・・・、



1人で。









「「「「へぇえええええ」」」






勢い良く3人の声が重なる。

悟空もあんなに眠そうだった、という理由で1/8にカットした話ではあったが、理解できたみたいだ。

一応通じたことには安堵感を覚える。

そして最初に言っていた質問の時間を設けてみる。





「質問は?」


「あーハイハイッ!」






悟空が目をキラキラさせて手を挙げる。

少し驚いてはその内容を聞いてみた。






「夏休みって何?」


「夏は暑いから勉強・・・仕事が休みで、その期間のこと。9月で夏休みは終わりなんだよ」


「へぇーそーなのか・・・」






淡々と質問がさばかれていく。

長ったらしい質問に対する回答が終わると、はまた話し始める。






で、現代に帰ってきてだいたい2年かな。

学校帰りに目の前に観世音菩薩っていうか観ちゃんがいた。

それから言われるままに蓮の花が綺麗な天上界へ連れて行かれて。

見た鏡には白龍が映っていたから。

なんとなく逆らいがたくて。

そしたら観ちゃんに言われたの。




『桃源郷を救え』


『妖怪を封印してみろ』



って。

その直後何故か封印されちゃってて、気づいたら目の前には白龍がいて。

皆が居た。

さっき気づいたけど、封印されると100年で1年分の成長するんだね、

知らなかった。











そんな風に説明を終えた。

さっきは質問のオンパレードだったけど、今回ははっきり分かったようだ。

質問があるかとたずねてみても何の反応も無かった。






「皆・・・分かった?」


「うん、大変だったんだなッ!」


「すごいですねぇ、怨霊も妖怪も封印しちゃうなんて」


「でも・・・まだ妖怪なんて一度も封印したこと無いし・・・」


「そんなモン、これからすりゃあいい」


「三蔵サマの言うとおりだぜ? 頑張れよ」







予想外の励ましにの心が満たされていった。

なんとなく温かい感情に駆られて。

こんなのが、幸せなのだと実感した。







「じゃ、いい加減皆退散してください。ここは僕と悟空の部屋ですから」


「わーったよ、なんで俺がこんな生臭坊主なんかと一緒にいるんだよ」





そんな悟浄の愚痴に三蔵は銃口を向けた。





「貴様、この場では黙ってろ」


「・・・・・・・・・へいへい」





三蔵の意外な行動によって2人は撤退を余儀なくされた。

そしても自室へと戻っていった。

の部屋はこの宿の中で一番、窓からの景色が美しいと聞いた。

それもそのはず町の片隅にあるこの宿の窓からは、

果てしないかと思うほど広大な町と、その先には斜陽殿が見えたのだから。





「斜陽殿・・・・・・か・・・」





都の近くはやはり陽の気があった。

たくさんの灯りの色がキラキラしていて幻想的で。

は寝付けなく、電気を消したまましばらくぼんやりとその景色を見ていた。

深夜1時にもなるというのに町の灯りは一行に減らない。

いつまでたっても美しい灯りの輝きが衰えない。





「いい加減・・・寝た方がいいよね・・・」





そして少し冷たいベッドに入る。

横になった状態でも見える長安の景色は、いつもとは違う今日だということを実感させた。

暗闇の中に浮かぶ幻想的な灯りは限りが無いほどたくさんあって。

ここは本当に現代じゃないことを久しぶりに感じた。

前いた京とも、現代とも違う世界。

また他の世界を救う使命を負ったには不安が残る。

少しだけ自身はあったが、残りはほとんど不安で。

もう、できることなら命を奪うことなんてしたくないから。

でももう遅いと知った。

ならば腹をくくるしかないのだから、気合入れて生きよう。

自分の為に。









そんな寝付けない所為で考えさせられたコトが頭の中で旋回する中、

は静かに涙を流して眠りについた。

































温かい。

そして眩しい。







「っ!!」







がベッドから勢い良く飛び起きた。

足はまだ毛布の中に入っている状態で異変に気づく。






「白龍・・・?」


「おはよう神子。良く眠れた?」





そう。

から一番近い椅子に白龍(大人)が座っていた。






「ちょっと・・・いや、かなり寝たり無いかな・・・」


「そう、じゃあゆっくり休んで。今日は旅の支度をする日だから」


「そっか。じゃあお言葉に甘えておやすみ〜」


「うん、おやすみ」







そしてもう一度ベッドに入る。

そして目を閉じる…が。

前にいるのは大きな白龍だったから。

今度は何だか恥ずかしくて寝付けなかった。






「あの白龍・・・」


「どうしたの?」


「ごめん、恥ずかしいから・・・八戒のとこにいっててくれないかな」


「分かった。邪魔してごめんね、神子」


「だ、大丈夫だから!」





白龍は微笑んで部屋を出て行った。

今のやり取りでせっかく寝ようとしていたのに目が覚めてしまった。

景色がいいとされている窓から外を見た。

その景色は昨日とはまた違って静かだった。

たまたま持っていた時計を見るとまだ4時で、3時間しか寝ていないことに気づいた。

次第に明け染めていく東の空を見ていたら、目が馴れずにくらくらした。





「眠い・・・」




まともに心の中の言葉を口に出し、はベッドへと戻っていった。

今度は晴れ晴れした気持ちで、心地いい涼しさの風が窓から吹いた。

今日は快晴。

すごく気持ちが良かった。














そしてが次に起きたのは、


昼過ぎだったりする。





















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あとがき

はい、とんでもなく寝るのが好きなヒロインでした。
というか寝るのが好きなのは柚椰の方なんですけどね、本当に12時過ぎまで寝るとスッキリしますよ。
目覚めもいいし、起きると外が快晴だっていうのも最高ですよね…。悟空と少し似てるのかもしれません…!

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