経緯
『僕達の旅に同行することになった経緯を教えて下さい』
いきなり唐突な八戒の暴露ネタに、は一瞬だけ身を固くした。
だがすぐにいつもの平常心に戻って、まともな対応をする。
「経緯?」
「はい、一応興味があるもので」
「あー、俺も俺もッ! それ聞きたかったんだ!」
まるで中学生の修学旅行のように目を輝かせながら悟空はテンションをだんだん上げる。
三蔵もつまらなさそうな顔をしつつも何故か口元が笑っていた。
少しの沈黙の後、悟浄も付け加える。
「そーそー。
ちゃんはどうして100年も封印されちゃってたの?」
「え、えーっと…簡潔にまとめると、」
学校帰りに観ちゃんに捕まって気がついたらこの世界にいた。
「あはは・・・」
それを聞いて八戒の苦笑い。
悟空と悟浄の硬直。
そして三蔵の問いかけがあった。
「おい」
「何?」
「もっと詳しく話してみろ」
「だって話すと長くなるよ?」
「かまわん」
悟空だって眠そうだったのに、と言い返すが、悟空もの過去には興味津々だった。
そんな雰囲気の中で断るわけにもいかず、渋々話すことになった。
「じゃあ、私が龍神の神子だったってことは知ってるんだよね?」
4人は同じタイミングで首を縦に振る。
そんな光景はにとってとても微笑ましく、緊張をほぐすものだった。
「どこから話そうかな・・・」
「俺、がミコサマってのになったところからがいい!」
「そうですね、そのあたりから話してもらえれば僕達も状況が把握できるでしょう」
「チャンの過去話か〜その辺の野郎共より断然興味があるわ」
「御託はいい。
黙れ」
「「「はいはい」」」
「えっと、じゃあその辺りからね。
長くなるけどちゃんと聞くこと!」
そして4人は揃って返事をした。
言葉はそれぞれまちまちだが。
「私が神子になったのは9月・・・・・・旧暦だから葉月くらいかな?」
神子として選ばれたのはその日。
夏休みが終わって、学校に登校して、だんだん慣れてきた頃だったな。
「なぁ、夏休みって?」
「質問会は全部終わってからね。
質問はまとめて受け付けます。
いいよね?」
「「は〜い」」
気を取り直して。
そんな少し風が冷たくなって来た頃の学校帰り。
私は空に流れ星みたいなものを見た。
でもそれは普通以上に大きくて、さすがに目の錯覚か何かかと思った。
そしたらそのタイミングで校門の前に植えてあったもみじの葉が手のひらに落ちた。
その葉は紅葉していた。
まだ夏が終わったばっかりで、秋とも呼べないような半端な時期だったから。
紅葉なんてするはずが無かった。
だから不思議で、流れ星だって普通じゃない。
そんな気分のまま帰り道を歩いた。
少ししたらさっき拾ったもみじの葉が光りだして、一つの玉になった。
宝石みたいな美しさじゃなくて、もっと他の。
強いていえばオパールのような。
そして声が聞こえた。
『汝は時の流れを変えた』
ってね。
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あとがき
なんとなく分量が少ないです。
このお話は次章の「鶯鳴く」への導入のつもりで書いたので短いです。
次からは遙かの色が濃くなってくるのかもしれません。もちろん最遊記メインですが。
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